台風接近、将来の夢旋回中
(2019/10/13執筆)
Francfrancで買ったディズニーの時計が深夜1時を指した頃、僕は長岡(新潟県)の自分の部屋にいた。外は強風がビュービューと吹いていて、時々不気味な音が聞こえる。台風19号がやってくる。
テレビを見ると、大雨特別警報がでていて、各地で被害がでているようだ。東京の多摩川が氾濫しているニュースがやっている。神奈川の箱根では48時間に1000mmも降ったらしい。土砂崩れが心配である。
数十年に一度の災害が予想される時、発令される特別警報_。気のせいであろうか。毎年見ている気がする。最近、異常気象が多発している。台風にゲリラ豪雨。米農家も大変である。(最近、筆者は米屋でバイトをしている。米農家さんと接する機会が多く、ご年配の方が多い。)
さて、筆者は自分の将来を考えている。どうしようかなと。10月だし。もうすぐ就活が本格的に始まるし。
インフラ_。技術系_。メーカー_。モノづくり_。海外_。自分のやりたいこと、興味があることはあるが、文章でまとまらない。出てくるのは単語ばかり。今、台風は宮城にいるが、台風のように
将来に関する単語が僕の頭を旋回している。(洗濯機の中の衣類のように)
ぐるぐる僕の頭を単語が旋回している時、ピタッと外の風が止み、静寂が訪れた。その時ふとこう思った。
「将来はアウトドアの仕事がしたいな」
私はスマホでPatagoniaを検索した。すると面白い人が見つかった。藤堂光樹さんだ。大学卒業後、一部上場企業に4年勤めて退職。1年半ほど海外を旅した。オーストラリアを訪れた際、NGOの植生復元活動に参加。イスラエル・パレスチナ・ガザ地区でボランティアをし、その後ヨーロッパ各地を回った。
旅を終え、自然に身を置く仕事につきたいとPatagoniaに就職。尾瀬(新潟、栃木、群馬の県境)の自然ガイドをPatagoniaの仕事と並行してやっていた。今はストアマネージャーとして東京丸の内で働いている_。
「何てかっこいい人だ!僕の理想の生き方だ!」そう思った。会ったことはないが藤堂さんという男に惚れた。
星野源、オードリー若林、大竹英洋(写真家)、佐藤オオキ(デザイナー)、僕が会いたい、超えたい男リストに藤堂さんが追加された。
さて、自分のやりたいこと理想をここに書き示す。
・技術系、エネルギー、インフラ系で30歳手前、もしくは3年間働く。
その後、一年位旅に出る。シベリア、インド、キューバ、アメリカ横断、パタゴニア、南極、アフリカのサバンナ、イタリア…。
・アウトドア系と仕事に就く。地球環境を考える、守る仕事。
・妻と小さなカフェ兼レストランを経営してひっそりと暮らす(石川県の能登の方)
・結婚をし、子供もいたら夢を定年まで待つのもいいし、夢を追いかけるのもいい。
・動物を保護するパーティに入る。もしくは自然、動物に関する修士号をとる。アラスカとかで。
・フランスの花屋で修行して世界一の花屋を気に入った場所でする。
・そして、最後は50歳になったとき
かっこいいおじさんになってる
(娘に自慢できるような。娘いるかわかないけど)
自分の将来を整理できたところで、布団に潜り、
すやすやと眠りについた。
自分がイギリスに行って思ったこと
1年ぶりにブログを更新しました。
2月上旬になり、いよいよ就活が本格化してきます。就活で忙しくなる前に一昨年から半年近く行ってたイギリス🇬🇧のことについて書こうと思います。
イギリスー。
フィッシュ&チップス。紅茶。大英博物館。王族。サッカープレミアリーグ。ラグビー🏉。パブ。イギリスと聞いて最初に思いつくのは大体これくらいかと思う。(あとハリーポッターか)
私がイギリスに行く前に思ってたのは街は欧風で紳士の国、食べ物は美味しくないが(行ってこの予想は良い意味で裏切られた)、スポーツには熱い。数あるヨーロッパの先進国の中でもイギリスの王室を見ているからか華やかな印象があった。
しかし、行ってみると想像してた世界とはかなり異なり衝撃を受けた。私が衝撃を受けた出来事について色々と書いていこうと思う。
1.食べ物が美味しい
これは、私がイギリスに来て助かったことの一つである。パブ(居酒屋を洋風にした感じのお店。週末はビール片手にサッカーの試合を見る人で賑わう。)にいけば、フィッシュ&チップスやピザが食べられるし、街中には日本料理や中華の店も多い。ロンドンの中心街(ピカデリーサーカス周辺)には豚骨ラーメン屋がけっこうあり、多くの人が並んでいた。
また、スーパーに行くと日本と遜色ないラインナップで野菜🥦、果物🍎、肉🍖から化粧品、洗剤まで沢山の物が置いてある。イギリスは共働きが多いため、レンジでチンするだけで簡単に和洋中何でも食べられる商品がある。大変便利。
ただ、スーパーに行って驚いたのが入り口近くに黒人の男性が立っていたことである。客が万引きしないか見張るため立っているのだが、最初自分たちが商品をカゴに入れた時、その男性もついてきたのでつい怪訝な顔をしてしまったことがあった。
2.英語が聞き取れない
これは、イギリスに行ってショッキングな出来事のうちの一つであった。同じ部屋にいた研究室の先輩が休憩中談笑していたのだが、全く聞き取れない。海外ドラマや洋画を沢山見ていたため、ある程度聞き取れる自信があったが、最初全く歯がたたなかった。英語ではない別の言語で話してるのではないかと錯覚したほどだ。例えばrだと音節末には発音しないし、アクセントの強弱が聞き取りにくく口を大きく開けて話さない人もいた。実際聞き取れるようになるまでに多くの時間を費やした。イギリスは連合王国である。イングランド🏴、ウェールズ🏴、スコットランド🏴、北アイルランドの4つの地方から成り立つ国である。そのため、公用語や方言の違いもあるため英語を聞いているつもりでも何を言って理解できない場合がある。(日本でも関西弁、津軽弁、広島弁があるように)これは、慣れるしかないので、イギリス英語の映画を観たり、街中に行って商店街のおじさんと話したりしていくしかなかった。
3.とにかくサッカーが熱い
せっかくイギリスに来たのでプレミアリーグは一度見ておかないと、ということでマンチェスターU VSニューカッスルの試合を観に行った。場所はマンチェスターUのホームスタジアム、オールドトランフォードである。
収容人数は75,000人と世界トップクラスの大きさ。スタジアムに入った時あまりの人の多さと熱気に感動してしまった。この試合、ニューカッスルに所属する武藤選手がスタメン入りしプレミア初ゴールを決めた記念すべきゲームであった。前半10分のうちにニューカッスルに2点を決められ、ホームのマンチェスターUとしては立ち上がりとしては最悪な展開に。応援するお客さんも相手チームや味方選手、当時監督してたジョゼ•モウリーニョ(現トッテナム監督)に対し、ボロクソの野次を飛ばす。チームが勝っていればお客さんは「お前はすごい!」「なんで奴だ!」と大喜びするのだが、負けていれば、「引っ込め!母国に帰れ!」などが容赦ない罵声が浴びせられる。プレミアリーグでプレーしていた岡崎選手や吉田選手、ブンデスリーガやラ•リーガなどヨーロッパトップリーグで戦っている日本の選手はこの半端ないプレッシャーの中闘っていたのかと思うと、尊敬してしまう。というかタフな精神力を持っていて人間としてすごいと思う。結局この試合は3-2でマンチェスターUが逆転勝ちをして、スタジアム🏟は大きな熱気に包まれた。点数が入った直後、隣の席の人同士がもみくちゃになる程喜びを爆発。試合後、最寄駅に向かう途中の道でも意気揚々と応援歌を歌い出す人々。パブに行けばサッカーを見ながらビール、公園に行けばちびっこがサッカーボールを追いかけてる。サッカーへの愛情が半端ない国だと行って思った。
4.イギリス人以外の人が多い
イギリスに行ったので勿論イギリス人が多いのだが、インド系の人や韓国や中国などの東アジアの人たちも数多くいた。街中にはインド系の人達が経営する商店や料理店が数多くあった。韓国や中国の人たちは私が通った大学で沢山見た。イギリスは大学の卒業が3年で終わり、マスターやドクターも優秀なら母国で取るよりが短期で取れるため、多くのアジア人が来ていた。大学行きのバス🚌は殆どアジア系の人ばかり。学部によっては半数近くが韓国や中国の人のところもあるという。(中国人とお友達になったが、日本のアニメも知っているいい人たちだった。テレビなどのメディアで見る中国が本当の姿ではない)
今、就活では競争相手は日本人だけのところが多いと思うが、後数年、10年近く経てば韓国や中国、東南アジアなどの優秀な人材と就活や仕事で闘かわなくてはならない時がやってくると思う、実際、自分がいる日本の大学でもここ数年で世界各国からマスターやドクターをとるためきている留学生が増えてきている。建築現場や介護業界では海外からきた人達が数多く働いていると話も聞いた。大学在学中、社会人になって自分の武器を一つでも多く身につけなければ、一つ尖ったものを見つけ磨かなければ、世界で闘かっていけないだろう。自分が勝ち残っていけるためのスキルとは何か?1/1000,1/10000に1人の人材になれるのは何か?引き続き考えていきたい。
5.ホームレスの人達が多い(貧しい人が多い)
せっかくイギリスに来たので週末各地を旅行したのだが、いく先々でホームレスの人達を多く見かけた。しかも、驚いたのがアジア人がやアフリカ人ではなく、ヨーロッパ系を人達だった。日本だと厚生労働省がホームレス自立支援を促す施策をだしているがイギリスだと移民の数が多いのと、自分がどこの出身国か証明する物がない人もいるため支援制度の対象を定めるのが難しいと考えられる。日本は移民を制限しているが、少子高齢化が進む日本は今後、移民や海外の人の雇用を積極的にしていかないと国として成り立たない状態になりうる。社会保障制度もいつまで今の状態でいられるかわからない。
イギリスのホームレスの問題は決して他人事ではいられないのである。
6.人種差別はある
3.のサッカーの試合を観に行く前、トラム🚊という路面電車に乗ったとき、若い男がこっちを見て、アジア人を侮辱する言葉を言っているのが聞こえた。絡まれたくないので無視していたが凄い不快であった。街を歩いていると、酔っ払いが自分をみて你好とか謝謝と中国語で話しかけてくる人がおおかった。自分がアジア人だと強烈に意識するようになったのと同時に自分が中国人顔に見られることを知った。まぁ、無理もない。中国の人口は13億人を超え、日本の人口は1億人ちょっと。14人に1人が日本人だったら、ほぼ中国人と思っても仕方がない。先程移民の話をしたが、アジアからもイギリスに働きに来ている人は当然いる。現地の仕事がない人たちは海外から人が来たせいで自分が働けてないと思ってる人が少数だがいると思った。だからある程度の人種差別は仕方がないと感じた。人種差別をされたから落ち込むのではなく、そういったこともあるのだと軽く受け流すくらいが丁度いいと思う。
7.EU離脱に関するニュースが連日あったこと
イギリスがEU🇪🇺を離脱する移行期間に入ったのが最近ニュースに取り入れられてきたが、そもそもイギリスがなぜEU離脱するに至ったか、その経緯を考えていきたい。
第二次世界大戦中、ヨーロッパは焼け野原となった。戦争のない平和な世の中にするため、ヨーロッパ諸国の人たちはEEC、ECを経てEUという欧州連合を作った。EU圏内では貿易を自由にして、人々の行き来も自由にできるようにし、ユーロ💶という共通通貨でお金のやり取りをしようというルールを作った。第二次世界大戦後、ソ連など社会主義の東側陣営とアメリカを中心とする資本主義の西側諸国の対立、冷戦があった。1989年に冷戦が事実上終わりその象徴としてベルリンの壁の崩壊があった、それが1991年あったできごと。冷戦が終わって東ヨーロッパの貧しい人達が西ヨーロッパに移住するようになった。この人達を移民といい、東ヨーロッパやアフリカ大陸から経済的に豊かな西ヨーロッパに移動する人達が年々増えていった。イギリス国内では安い賃金で働く移民の人達が増え、イギリス人の働く仕事が減ってしまった。これに我慢できなくなったイギリスの人たちは2016年に国民投票をし、EU離脱が決まった。移民を制限してイギリス国内の雇用を守ろうとした。
イングランド🏴の北東の海に面した町にハルと呼ばれるところがある。ここは、EU🇪🇺に加盟する前は、多くの魚類がとれる漁師町として有名だったが、EU加盟後、北欧地域の人達と漁場をシェアすることになった。そのため、年々獲れる魚の量が減っていき、ハルは経済的に衰退していき街が廃れてしまった。実際EU離脱の有無を問う投票では、都市部以外の街でEU離脱派が多数となっていた。EU離脱すると実際どういう事が起こり得るかというと、イギリス国外から物を輸入もしくは輸出するとき、関税がかかってしまう。すると、新鮮な野菜など税関を通している間に腐ってしまったり、輸出するとき関税がかかため車が売れ残ってしまったりする可能性が大いにある。EUを離脱して良いこと•悪いことがでてくるため、果たして離脱して良かったのかどうかは実際分からない。引き続き動向を見ていく必要がある。
*一気にわかる!池上彰の世界情勢2020 一部参照
8.イギリスの人=皆オシャレ、裕福ではない
しかし、心は紳士でカッコいい
最近、雑誌でロンドンの洗練されたファッションが取り上げられているが、実際イギリスに行ってみるとそうでもない。モノトーンで地味目のファストファッションをした人が数多くいた。ヨーロッパ is オシャレというイメージを作り出されただけなのだと知った。ロンドンの東側にイーストロンドンと呼ばれる地域があるが、そこを歩いたとき治安があまり良くない感じがした。ロンドンの西側、高級デパートがあるハロッズ周辺と全く違う雰囲気であった。
ヨーロッパと聞くと華やかで煌びやかなイメージがあるが、地域によっても陰の部分があることを知った。
貧しい暮らしをしている人も多いみたいだったが、
夫婦で仲良く歩いているのもよく見かけた。
この写真はイングランド東部の町、ウィットビーという街で撮った。お年寄りの夫婦が手を繋いで話しながら歩いているところを撮った写真である。自分が歳を取っても彼らのように夫婦で支え合える関係性がつくれたらいいなと心から思った。
イギリスの人はジョークが好きでユーモアがあり、紳士の国である。ドアを開けるのを待っててくれたり、食べ物をシェアしてくれたり、優しい人達が多かった。そのおかげで半年近くのイギリスの生活ができたと思う。歳をとってからまた行ってみたいと思う。
また、足りないところがあったら書き足そう。
夜も遅いので、ではでは。
春到来、花粉の季節到来
一週間前、東北旅行🚘に行った。(研究が忙しくなる前にせっかくなら東北見て回ろうということになった。)仙台にいる友達と宮城、岩手、秋田、青森の4県。総距離1600キロを2人で交代しながら各地をまわった。途中世界遺産、平泉の中尊寺金色堂に行ってきた。
奥州藤原氏がいかに権力、資産を持っていたかが、金色堂を観に行けばわかる。建物の一部は東南アジアからわざわざ取り寄せた材料もあったようだ。源義経、平安時代の歴史が好きな人はぜひ行くといい👍。一通り見終えたので、境内にあるおみくじ🥠を引いてみることにした。すると、こう書かれてあった。
「運気は下り坂になるため、ちぐはぐな感じを受けることが増えそうです。(最近そういう実感はある。)気分的には、活気付いてきて、積極的に動きたくなるものの、苦労が伴うわりには成果が伴わず、骨折り損となりそう。(今まさに、東北旅行なのだが…)特に足元を見ずに衝動的な行動を起こしたり、自己主張の強すぎから人との摩擦が大きくすることには、注意が必要です。(!!!)」-第33番末吉-
これを見た感想は、いいこと1つも書いてないじゃないか。というより、末吉でここまで言われる必要かあるのか?と思った。ここまで言われると、凶や大凶がどんなことを書かれているのか気になってしまう。(結局、調べなかった。これ以上旅行でメンタルがやられるのはごめんである。)くじは当てにならない。が、つい気にしてしまう。久しぶりにくじを引いた感想として、信じやすい人、影響されやすい人はくじなんかやらない方がいいということである。
後、東北旅行の写真をいくつか貼っておく。
仙台名物、牛タン。閣という店はおすすめ。
岩手、やぶ屋本店のわんこそば。記録55杯(男性平均は50〜60杯)。大食いの人は100杯目指そう!
地元で有名な比内鳥🦆を贅沢に親子丼に。トロトロの卵と炭火焼した鶏肉が絶妙にマッチする。
弘前名物リンゴが郵便ポスト📮の上に。
青森といえば、ねぶた。夏のねぶた祭りを見に行きくなった。
弘前城。思ったより小さい。
ずーっと来たかった十和田市現代美術館。美術館前にはチェ・ジュンファのフラワー・ホースがお出迎え。雪がかぶさった作品は風情があって良かった。
美術館で一番人気の作品。ロン・ミュラクのスタンディング・ウーマン。高さ4メートル近くあり、見るものを圧倒。肌、血管、髪の毛にいたるまで、人間に限りなく近く感じた。進撃の巨人が実際いたら、こんな感じなんだと思う。
八戸で海鮮丼。八戸の朝市は全国的にも有名である。その日とれた新鮮な魚介類、フードがたくさんある。皆もぜひ行ってみてほしい!しおてばと八戸せんべい汁も食べてほしい。大変美味でした。
3月も終わり、太陽の日差しが暖かいと感じる季節になった。春である。桜🌸の開花が待ち遠しくなる季節だが、花粉症の人達が苦しむ季節でもある。(自分は花粉症ではないので、良かった)
今日は天気が良かったので、河川敷に行って、ギターを弾いてきた。
周りをみると、ピクニックをする人達が多く見受けられた。私はスターバックスでタダで手に入れた敷物をひいて、ギターの弦を弾いた。アコースティックギターの技術は少しずつ向上している気がする。ギター弾ける=モテる!という不純な動機から中学やり始めた。(たったの一度もモテたことはない。)Fコードの壁を乗り越え、何とか趣味として成り立つくらいにはなった。
今月は英語月間である。学校でやることが終わったら、カフェに行って黙々と勉強をしている。今月、英語を頑張り始め、カフェに来たのは2回目。今、休憩時間にこの文章を書いているが、そろそろ英語を勉強した時間が、休憩時間を超えそうなので、そろそろやめておく。ではでは。
フリーマーケットの男5
(フリーマーケットの男4を読んでない人は
http://rokky5.hatenablog.com/entry/2019/01/07/073611を見てください👍)
「君は前に、普通の生活するのに困らないくらい大金が手に入ったらどうしますか?と質問をしたのを覚えているか?」
「はい覚えています!」若い男は答えた。
「私なりに答えを考えのでここで言ってもいいか?」と彼に聞いてみた。
「いいですよ。その答えを聞いてみたいです。」彼はこちらを見ている。
「私は大金が手に入ったら、自分が最低限暮らせるお金を計算して、それ以外のお金はどこかの慈善団体に寄付するか、誰か困っている人のために使う。お金はあった方がいいが、ありすぎても困ってしまう。お金を持っていても幸せとは限らないしね。私は普通に暮らせたらそれで十分だ。それ以外はいらない。誰か他のお金が必要な人の元に行けばいいと思う。私の意見としてはこんな感じだ。」
私は彼の目を見据えたまま答えた。彼はうんうんとうなづき、
「なるほど、あなたはそう答えましたか。参考になりました!ありがとうございます。」
と頭を下げ、お礼を言ってきた。そして、数秒間両者の間で沈黙が続いた後、若い男は切り出した。
「この質問をしたのは理由があります。実は…最近、まとまった大金を手に入れました。どのようにして手に入れたかは言えませんが、一生暮らすのに困らないほどのお金です。私は働いていた商社をやめました。わたしは自由を手にいれたと思いました。しかし、時間が経つにつれ訪れたのは、安楽ではなく、恐れでした。これほどのお金を今まで持ったことがないので途方に暮れてしまったのです。私は大金を手にした途端、不安で毎日寝れなくなりました。誰かが私を何処からか見ているのではないか?私が大金を持っていることを誰か知って、襲いにくるのではないか?私は妄想に取り憑かれ、寝るのが怖くなりました。」
彼は話始めてから少し間を置き、青い空を見上げたまま話の続きを始めた。
「私をすくってくれたのは本でした。最初は本を読めば自然と眠くなるだろうと思って読んだのがきっかけでした。その本には、ユダヤ人に関することが書かれていました。私はその本のある文が目に留まりました。
人は生きている限り奪えないものがある。それは、知識である。
私はこの文を見て思いました。そうか、知識か。目から鱗だ。私は有り余ったお金で本を部屋が埋まるくらい買い、毎日読むことにしました。小説、エッセイ、世界史、アート、宗教、料理本、ビジネス本、海外の本など。読んでいると、今まで知らないことがこんなにもあったのかと驚かされました。私は本に取り憑かれたように読みました。そして、本を大量に読み始めてから、睡眠が取れるようになりました。それから、私の頭は正常に動き始めました。私は世の中に何か還元したいと思い始め、フリーマーケットを始めました。自分の買った本を安く売って他の人にも本の素晴らしさを知ってもらいたいと。」
彼は一通り話し終えると、膝の上に手を当て立ち上がり、空に向かって背伸びした。私は
「そうでしたか。なのでこれほど大量の本を毎週持ってこれるのですね。ようやく合点がいきました。…けど、なぜ私に大金が手に入った話をしたのですか?危ないとは思わなかったのですか?」
私は気になったので尋ねてみた。すると彼は
「いや、あなたは初めて会った時から大丈夫だと思いました。これは感覚的なものではありますが、あなたは信頼できる人だと思いました。あなたはいつもベンチに座って気持ちよさそうに本を読んでいる。私の中では本を読んでいる人に悪い人はいない、と考えています。論理的ではないかと思うのですが、世の中には科学的に説明できない不可解なこともあります。」
私はそう思われていたのかと驚いた。
彼が話し終えると、小さい子供連れの家族が来た。小さい子供は2歳くらいで、敷物に引いてある、動物が描いてある絵本に興味を持ったようだ。手に取ると、こえ、こえ!と(まだ、これと言えないようである)お母さんに買って欲しいとおねだりしている。母親は子供と目線を合わせるためしゃがみこみ、
「しょうがないわね。」
と子供の頭を撫でて、お金をフリーマーケットの男に渡した。子供は欲しい本を手に入れることができ、満足なようだ。
彼らは笑顔で去っていた。
そこから、何人もお客さんが止まり、人集りが出来はじめた。フリーマーケットの男は笑顔である。彼は、今幸せそうである。私は今日は本を買うのを諦め、来週また、公園に来ることにした。私が背を向け、公園の出口に向かおうとした時、フリーマーケットの男は
「今日はありがとうございました!また会いましょう!」
彼は手を振りながら言った。時刻は昼過ぎである。近くの弁当屋さんに行ってから帰るかと簡単に今日の休みの計画を立てた後、弁当屋のある駅前に向かった。
1週間後、時刻は7時半。日差しがカーテンの隙間から入り込み、スズメが鳴いている。今日もどうやらいい天気なようである。私は昨日スーパーで買った残り物とインスタント味噌汁で簡単に朝食を済ませ、9時過ぎに家を出た。近所の公園に着いて、いつものベンチに腰を掛け、本を読んでいた。1時間、2時間たってもフリーマーケットの男は来なかった。私は毎週日曜日にこの公園に来てたが、彼と会えなくなるのはこれが初めてだった。私はフリーマーケットをやっている場所の近くに立っていると、
子供連れの母親達が、やってきてこんなことを話していた。
「そういえば聞いた?この公園でやってたフリーマーケット屋さん!どっか別のところに行っちゃったんだってー。」
「えー!そうなの?全然知らなかったー!。ちょっと残念ー。ママさん達の間でも安くていい商品が買えるって評判だったのにー!」
彼女達はベビーカーを引きながら、私の目の前を去っていった。
そうか。あの男はどこかに消えてしまったか。寂しいな…。私はちょっと悲しくなった。私は彼の店のファン第1号だったのもあるし、彼に会えなくなるのが寂しかった。せめて、お別れの挨拶くらいしたかったのだが…。
私は持っていた本をジャケットの内ポケットにしまい、公園の出口に向かった。
「また、会いましょう!」
彼はたしかにそう言っていた。彼はどこへ行ってしまったのだろうか。公園の出口をでて、すぐのところに目新しいチラシが貼ってあった。
「私営図書館 建設予定地
〇〇区希望ヶ丘〇丁目〇〇番地
建設終了予定日20〇〇 4月上旬
市場 由次」
来年、新しい図書館が出来るのか。希望ヶ丘か。私の自宅から歩いて15分くらいだから、結構近いな。出来るのが楽しみだな。それまで、何を楽しみにしようかな…
空を見上げると、うろこ雲が見える。の方へ移動している。地球が動いているよりも早い速度で動いている。
「あなたは大金を手にしたらどうしますか?」
私は彼のことを少し思い出し、フッと笑って商店街の方へ向かった。
フリーマーケットの男4
(フリーマーケットの男3話みてない人http://rokky5.hatenablog.com/entry/2019/01/06/061628を読んでみてください)
(時刻は7時57分!天気予報の時間です。さぁ、お天気キャスターの〇〇さんを呼んでみましょう!〇〇さーん。)
(はーい🙋♀️!こちらお台場からお伝えしておりまーす!今日は北海道から九州まで高気圧に覆われていて、日差しの良い、洗濯日和となるでしょう!沖縄は、南から湿った空気の影響で所により雨が降る模様です。以上お台場からでした!)
今日はどうやら、東京は晴れのようである。私は軽く朝食をとった後、テレビの電源を消し、いつもの公園へ向かった。空の多くは青色で覆われていて、所々に白い雲がゆっくりと西の方へ流れていく。街路樹からスズメの鳴き声が聞こえる。今日はいい1日になりそうである。
「大金を手に入れたら、どうしますか_。」
先週からこの言葉について時間がある時考えてしまう。お金はあった方が良い。
単純に考えて、お金があれば、色々と自由度が広がる。好きなものを物を買うことができるし、家も立てることができる。海外にも行けるし、借金の返済に追われなく済む。
しかし、お金はありすぎてもどう使っていいか分からず、途方にくれてしまうのではなかろうか?税金や遺産相続問題、ある日突然誰かに襲われて金を要求されるかもしれない_。毎日びくびくと怯える生活を送るのだろうか。
私はブータン🇧🇹の王子が日本に来た時を思い出した。国民の幸福度でいうと、ブータンの方が日本よりも高いらしい。つまり、国民一人当たりの所得は日本の方がいいのにもかかわらず、ブータンの方が幸せだと感じている人が割合的に多いということだ。お金があるから幸せになれるわけではない_。しかし、お金はあった方が良い_。んー。私は考えてしまった。
気がつくといつもの公園に来ていた。今日はまだあの男は来ていない。私はいつも定位置(木で作られたベンチ)に誰かが座っているので、仕方なく別のベンチを探した。しかし、他のベンチも無さそうである。私は公園にある一番大きな木の下の木陰に入り、草原の上に座った。ポケットから本を出そうとすると、何も入ってないことに気づいた。しまった。今朝から考え事をしてたせいで本を持ってくるのを忘れてしまった。私はゴロンと仰向けになり、釣り糸のような形をしたすじ雲を見た。
そういえば、今でこそ安定してお金を稼ぐことができるが、若い頃は生きるのに必死だった。1990年代初頭にバブル経済が破綻し、景気が一気に減速した。いわゆる「バブル崩壊」だ。大学では、学年が数個上の先輩がゴールドカードを当たり前のように所持し、また若い女性は高級レストランで男性に奢ってもらっていた。それが、一転して日本の長い不景気の時代に入る。就活していた当時、就職氷河期だけあって大学生の就職率は60%を切っていた。想像を絶するしんどさであった。どこも雇用が厳しいため、本当に優秀な人しか就職できない_。正社員なんてなれない、契約社員として働くしかない。企業も収益を確保するため、人件費を削減し、いらない人員を次々とリストラする。恐ろしいことだ。少し前まで、あんなに景気良かったのに_。なぜ、自分はこの時代に生まれたのか?こんな目に合わなければならないのか?わけがわからなかった。この怒りを、悲しみのベクトルを誰に向けていいかわからなかった。私は何社も落ち続けたが、幸い中堅の出版社に就職することができた。同期の中には就職出来ず、フリーターになった者もいた。
2008年のリーマンショック時にも私のいた会社は一回大きな危機があったが何とか乗り越えた。寝る間も惜しんで、働き、いつ辞めさせられるかビクビクして寝れない日が続いたのを覚えている。
あれから数年が経った。最近の出版社もデジタル媒体の影響で収益を大きく落としているが、何とか踏みとどまっている。私も40代となり、立場が上になり、部下と共に毎日働いている。若い頃はくそお金があれば…!と小銭しか入ってない財布を見て思ったが、今は歳をとり収入も上がったおかげが、お金に対してあまり執着しなくなった。生活するのに困らない程度あればいいなと。だとすると、多額のお金を手にしたら自分は…。
そう思っていると、あの若い男が荷台を引いて私の近くを通った。彼は私と目が合うと軽く会釈し、
「おはようございます!いい天気ですね。いや〜、フリーマーケットするのには助かりますね!」
と白い歯を見せ、笑顔でこちらを見てきた。相変わらず、笑顔がステキないい男である。自分の知っている中で彼ほど笑う顔がいいと思うのは見たことがない。(まぁ、あまり人と交流する機会もないので比較にはならないが_。)
彼は定位置に荷物を降ろすと、マーケットの準備を始めた。私は彼の元に向かった。彼が敷物の上に商品の陳列を終えると、
「この前の質問についてだが…」
私なりに考えた答えを彼に言い始めた。
フリーマーケットの男3
(フリーマーケットの男2を読んでない人はhttp://rokky5.hatenablog.com/entry/2019/01/03/063213を読んで下さい)
ゴールデンウィークが終わった。公園の木々は深い緑色に色づき、気温も20℃前後と過ごしやすくなった。あの男と会うようになって1ヶ月近く経つ。彼は毎週日曜日、近所の公園にやってきて、フリーマーケットを行う。商品が売れて無くなると、その男は荷物を纏めて消えてしまう。最近では近所でも、センスのある商品が置いてあるフリーマーケットの店があると噂になっている。
私は毎週、日曜日が来るのが楽しみになってしまった。今日も私は、朝早い時間に自宅から取ってきた本を一冊手に取り、公園に向かった。(今日は、東野圭吾の白銀ジャックである) 公園に着くと、その若い男はフリーマーケットの準備を始めていた。もうこの男とも顔なじみである。私は彼と軽い世間話をして、商品を1つ買い、家に戻る_。これが最近の私のルーティンである。
私は読書が趣味なため、本を品定めしていると、店主の若い男が話しかけてきた。
「もうすぐ、フリーマーケットを始めて1ヶ月になります。あなたはいつも一番に買いに来て、一番始めにここからいなくなる_。いなくなる前に聞きたいのですが、ここのお店は気に入ってくれましたか?」
私はうーんと少し考え、
「はい、結構お気に入りです。毎週日曜日が楽しみになったほどです。これほどの品を毎週持ち運んで大変じゃないんですか?」
と私は聞き返した。すると彼は
「いえ、お客さんが別れ際に笑顔で帰っていくので、やりがいがあります!」
と笑顔で答えた。そして10秒ほどであろうか。時が止まったかのように2人とも話さず、鳥の声だけが公園に響き渡る。私が商品に目を移しかけた時、再び彼は話しかけてきた。
「実は、1つ質問があるのですが、いいですか?」
私は「ええ、いいですよ。」と答えた。
「ある日、あなたは普通の生活に困らないくらい大金が手に入ったとします。あなたはそのお金をどう使いますか?」
私は、そんな質問がいきなりブッ込まれると思ってなかったので、正直面食らった。「そうですね…。」と眉間に皺を寄せ、顎の下の髭に手を当て考え始めた。
小さい頃、誰しも考えたことがあるだろう。もし、大金が手に入ったらか_。海外に行ったことないし、世界一周もありな。いや、安定に暮らすならマンションを購入して、家主として生活するのもアリだな。いや、まてよ。株式投資にも興味があるし_。株主優待でゆったり暮らすのもアリだな。頭の中にアイデアがいくつも浮かんだが、マトマすぎるというか、誰しも考えたことのある普通の答えしか浮かばなかった。若い男は私がどう返答するか反応を待っているようだ。
私は返答に困り、こう答えた。
「難しい質問ですね。色々と考えは浮かぶのですが、どれが一番いいか、考えても検討もつきません。実際大金が手に入らないとわからないかも知れないですね。」
私の返答に彼は、
「そうですか…」とだけ答えて下に少し俯いた後、顔を上げ、
「変な質問をしてすみませんでした!」
と頭を掻きながら彼は答えた。
「いやいや」と私が頭を横に振ると、
空から雨がポツポツと降り始めた。
彼は先程出したばかりの商品を片付け始めた。今日は傘を自宅に置いてきてしまった。(というより、天気予報を見てなかったので、雨が降るか分からなかった)おそらく、片付ける順番が決まっているのだろう。荷台に決まった位置であろう場所に荷物を積み始め、5分とかからない内に彼は商品をまとめ終えた。
私はそれをただ見ていた。彼は会釈して「また、来週会いましょう!」と白い歯を見せ、去っていった。
私は彼がいなくなった後、家に帰ろうと思ったが、ふと考えてしまった。彼になんて答えればよかったのだろうか_。私は質問に正しく回答できなかった解答者のような気持ちになった。
「大金を手に入れたら、どうしますか?」彼のその言葉がこだまのように頭に響き渡った。
気づくと雨足が先ほどよりも強くなってきたようだ。私は薄いジャケットを頭にかぶせ、足早に公園を去った。
フリーマーケットの男2
(フリーマーケットの男1を読んでない人は
http://rokky5.hatenablog.com/entry/2019/01/02/071458
を読んでから見てください)
次の週末の日曜日_。8時過ぎに家を出て公園に向かった。空はどんよりとした曇り空である。雨が降るのか降らないのかわからなかったが傘は持ってこなかった。(気象予報によると降水確率20%だった。最近の気象予報は昔と違って当たる確率が上がってきた気がする。)
私はこの前と違う本を家から持ってきていつものベンチに腰掛け本を読んだ。今日はあの男は来るだろうか。と思いながら本のページに目を通していると、向かい側からせっせと荷台を引っ張る男が見えてきた。この前のフリーマーケットの男だ。額に汗を垂らしながら荷台を引っ張っている。この前より商品が多くなっている気がする。私は遠目に男を見ていると、敷物を広げ、物を置いていった。
私はすかさず男の元へ向かった。前回、商品が売れたかこの前の倍近くになっていた。額の汗をぬぐいながら、ニコッと笑顔を見せ
「どうぞ、ご覧になって下さい!」
と明るい声で言ってきた。なるほど、よく見るとハンサムである。笑うと目尻にシワができて愛嬌がある。この前よりも時間が早いのと、周りを見渡してもまだ誰もいなかったため、話してみることにした。
「この公園でフリーマーケットとは珍しいですね。以前から別の場所でされてたんですか?」私が聞くと
「いえ、最近始めました!以前から興味はあったのと、まとまった資金が手に入ったので、フリーマーケットをやってみることにしたんです。そしたら、思いのほか売れたので、今回は商品を増やしてどうなるか実験的にやってみようと思います。」と若い男は答えた。
そうか、最近始めたのか。だから今まで気づかなかったのか、と納得しつつ、まとまった資金が手に入ったという言葉が気になった。私は他に
「普段、仕事はどんな仕事をされてるんですか?」と質問すると、
「数年前まで、都内の商社に勤めていたのですが、今は辞めて特に何もしてないです。」と答えた。
「そうですか」と納得した答え方をしたが、(こいつ、無職なのか?)まとまった資金をどのようにして手に入れたかが俄然気になった。視線を商品に移すと、本屋で見た最新のものから歴史、哲学など幅広い年代の物が置いてあることがわかった。それにしても、これほどの量をストックしておける家は早々ない。こいつ、どっかのボンボンか?と自分の頭の中で色んな考えが浮かんだ。私はディーネル・カーネギーの「人を動かす」を買い、公園を後にした_。
家に帰って、蛇口をひねり喉を潤した後、シャワーを浴びてソファに腰を下ろした。私は買った本を手に取り、読んでは、「あの男は何者であろうか?」と考えこんでしまった。頭をひねっても答えは出ず、ウトウトと、私はソファにもたれて寝てしまった。