Rokkys diary

日常をエッセイに

フリーマーケットの男2

(フリーマーケットの男1を読んでない人は

http://rokky5.hatenablog.com/entry/2019/01/02/071458  

を読んでから見てください)

 

     次の週末の日曜日_。8時過ぎに家を出て公園に向かった。空はどんよりとした曇り空である。雨が降るのか降らないのかわからなかったが傘は持ってこなかった。(気象予報によると降水確率20%だった。最近の気象予報は昔と違って当たる確率が上がってきた気がする。)

     私はこの前と違う本を家から持ってきていつものベンチに腰掛け本を読んだ。今日はあの男は来るだろうか。と思いながら本のページに目を通していると、向かい側からせっせと荷台を引っ張る男が見えてきた。この前のフリーマーケットの男だ。額に汗を垂らしながら荷台を引っ張っている。この前より商品が多くなっている気がする。私は遠目に男を見ていると、敷物を広げ、物を置いていった。

    私はすかさず男の元へ向かった。前回、商品が売れたかこの前の倍近くになっていた。額の汗をぬぐいながら、ニコッと笑顔を見せ

「どうぞ、ご覧になって下さい!」

と明るい声で言ってきた。なるほど、よく見るとハンサムである。笑うと目尻にシワができて愛嬌がある。この前よりも時間が早いのと、周りを見渡してもまだ誰もいなかったため、話してみることにした。

「この公園でフリーマーケットとは珍しいですね。以前から別の場所でされてたんですか?」私が聞くと

「いえ、最近始めました!以前から興味はあったのと、まとまった資金が手に入ったので、フリーマーケットをやってみることにしたんです。そしたら、思いのほか売れたので、今回は商品を増やしてどうなるか実験的にやってみようと思います。」と若い男は答えた。

   そうか、最近始めたのか。だから今まで気づかなかったのか、と納得しつつ、まとまった資金が手に入ったという言葉が気になった。私は他に

「普段、仕事はどんな仕事をされてるんですか?」と質問すると、

「数年前まで、都内の商社に勤めていたのですが、今は辞めて特に何もしてないです。」と答えた。

「そうですか」と納得した答え方をしたが、(こいつ、無職なのか?)まとまった資金をどのようにして手に入れたかが俄然気になった。視線を商品に移すと、本屋で見た最新のものから歴史、哲学など幅広い年代の物が置いてあることがわかった。それにしても、これほどの量をストックしておける家は早々ない。こいつ、どっかのボンボンか?と自分の頭の中で色んな考えが浮かんだ。私はディーネル・カーネギーの「人を動かす」を買い、公園を後にした_。

     家に帰って、蛇口をひねり喉を潤した後、シャワーを浴びてソファに腰を下ろした。私は買った本を手に取り、読んでは、「あの男は何者であろうか?」と考えこんでしまった。頭をひねっても答えは出ず、ウトウトと、私はソファにもたれて寝てしまった。